過払金返還額の推移、任意整理の数の推移

過払い金を取り戻すなら伊藤 謙一法務事務所

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「貸金業協会の統計資料」を基に以下の数字を算出しています。

《過払金が発生する利息20%超の案件数の推移》

平成20年3月末時点の有残件数は約1400万件、貸付残高は約7兆1600億円
平成21年3月末時点の有残件数は約1200万件、貸付残高は約5兆6000億円
平成22年3月末時点の有残件数は約580万件、貸付残高は約2兆7000億円
平成23年3月末時点の有残件数は約173万件、貸付残高は約6459億円。
平成24年3月末時点の有残件数は約46万件、貸付残高は約1390億円
平成25年12月末時点で有残件数は約6万8千件、貸付残高は186億円
平成26年7月末時点での有残件数は約4万6千件、貸付残高は128億円


《過払金返還額の推移》

平成18年、約3000億円
平成19年、約5200億円
平成20年、約7000億円〜約1兆円。
平成21年、約6300億円
平成22年、約5700億円
平成23年、約5500億円
平成24年、約3900億円
平成25年、約3000億円
平成26年 約2500億円(予想)


《平成25年〜26年の過払い金返還額の統計について》 2014.10.23

 終焉に向かいつつある「過払い金の返還請求」ですが、気になる事が・・・

 貸金業協会では統計資料を公表しており、たまに見ています。

 過払い金の返還額(利息返還金)の事項について、9月発行の月次統計資料を見ると、今年4月〜7月の毎月あたりの過払い金の返還額は210億〜240億円もまだあります。多分、年間2500億程度の返還になるのではないでしょうか。なお、5月以降は、速報なので正確には多少のずれが出てくると思います。

 去年の同月比で4月は11.8%の減少、5月は7.9%の減少、6月はなんと1.8%の増加、7月は9%の減少となっています。これは、業界的には、過払い金の返還額が全然減っていないと同じことです。毎月15〜30%程度の減少になるだろうと思っていましたが、データ上では、依然として「ほぼ横ばい」の状況です。まさか、わずかでも増加している月があるとは驚きました。


 過払い金の返還請求ができる人は限られており、減る一方のはずですが、データ上では返還額があまり減っていない事が疑問です。

 また、私の実務の実感としても、昨年比では、当然ながら減少しています。当事務所は、過去にはたくさんの依頼人がいましたので、完済したからと過払い請求をご依頼頂いたり、他の方をご紹介頂いたりと、減りはしましたが案件があります。これまでの業務を評価頂いていると思い、嬉しい限りです。

 しかし、まだ案件があるのは、長年に渡り、多数の案件を手掛けてきていた事務所か、今でも大規模な広告活動をしている事務所かのどちらかだと思います。いずれにせよ、新規参入は、ほぼ見込めない業務です。

 CMや大規模広告を打っているような大手事務所では案件が減っていないかと言えば、相当に減っていると思います。どの程度かはわかりませんが、広告の出稿が大幅に減少していることから、そう予想しているだけです。ただ、毎月の和解件数を公表している大手事務所もあって、見ていると、去年の半分にまで和解件数が低下しています。

 そうなると、過払い金返還額が統計上も前年比で大幅に減少していなければならないはずが、先に述べた通り、「ほぼ横ばい」の状況となっており、不思議に思っています。

 今年26年7月時点で金利20%を超える債務が残っている件数、つまり、「今も債務が残っていて過払い請求できる状態の方」は、約4万6千件で、その残高は128億となっており、前年比50%以上の減少です。減少幅も大きいですが、平成20年には件数1400万件、残高が7兆円を超えていたことからすれば、ほぼ無いレベルと言っても過言ではないと思います。よって、今、過払い請求がされている多くの部分は、「完済後の過払い請求」です。

 以前の過払い請求は2本柱でした。つまり、「今も債務が残っている方」と「完済された方」です。一方の「今も債務が残っていて過払い請求できる状態の方」は、先の統計を見ても極めて少なくなっており、完済後に過払い請求をする方が多くを占めています。一方の柱がほぼ無くなったにも関わらず、過払い金返還額が「横ばい」と言うことは、完済後の過払い請求の事案の需要が平成25年〜26年に、今までよりも、より多く掘り出されているということになります。

 大手事務所が広告や地方相談会等の開催で必死に需要を掘り起こした結果だとすれば「横ばい」になっている事への一定の理解はできますが、それも、もう限界だと思います。完済して過払い請求ができる方も有限だからです。今年の後半か来年始め位から過払い金返還は「横ばい」ではなく、より減少幅が大きくなることが、統計上でも表れるのではないかと思います。それでも「横ばい」なら、本当に疑問です。


 さて、今さら何故、無くなりつつある業務の統計まで見ているかと言えば、私は、過払い金返還が確定付けられた最高裁判決が出る前から、多重債務問題に取り組み、被害者の会に参加したり、集会やキャラバンに参加したり、全国の研修会に飛び回ったり、今ではもうありませんが、街金や日掛け金融や商工ローンなどともやり合ってきました。業者に脅されたことすらあります。

 借金問題は無くなりませんが、ある意味で一時代を築いた多重債務問題と過払い金の終焉を見届けたいと思っているからです。
 

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