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「個人民事再生」について。

 「個人再生」により、無担保の借金は最大で100万円まで減額できる場合があります。住宅ローンのある方は、住宅を守ることができる可能性があります。住宅ローンがなくても利用できます。自己破産が出来ない方も選択できる出来る場合があります。

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個人再生の報酬の支払いが困難な方へ。

 「法テラス」では、「法律扶助」の制度があります。法律扶助とは、一定の要件を満たす方について、報酬の支払いを立替払いをしてもらえる制度です。通常、立替分は分割で支払っていくことになります。法律扶助の詳しくは「法テラス」にお問い合わせ下さい。


どのような状況の方が個人再生を選択するのか?

 個人再生をすると無担保の借金が「最大で100万円程度まで減額」できます。しかもそれを「3年の分割返済」にすることが可能です。では、どのような状況の方が個人再生を選択するのでしょうか?ご相談が多い事例の3類型をご紹介します。

 1.住宅ローンを守りたいという方。

 自己破産をすれば住宅は失うことになります。住宅ローンがある家を守れる可能性があるのが個人再生です。ただ、住宅ローンの減額ができるわけではありません。あくまでも住宅ローンの支払いを継続できる収入状況の方である必要があります。

 マンションの住宅ローンの場合、管理費や修繕積立金の滞納分があるときは、滞納を解消しないと住宅資金特別条項を利用出来ません。


 2.自己破産だけはしたくないという方。
 
 「自己破産だけはしたくない」という方も一定数おられます。個人再生は最大で約100万円まで無担保の借金を減額することができます。しかも約3年の分割支払いにできます。およそ毎月3万円位なら支払が出来るという方であれば自己破産ではなく、個人再生を選択することも検討できます。但し、無職の方や今後の収入の見込みがない方は選択ができません。


 3.浪費が激しすぎて自己破産が不許可になる可能性がある方。

 自己破産は借金の全額について支払い義務がなくなります。これを免責と呼びます。ただ、あまりにも浪費が激しいなどは免責不許可となる可能性もあります。反面に個人再生には免責不許可ということがありません。免責不許可が予想される場合は最初から個人再生を申し立てることも検討の余地があります。


個人再生でどの程度の借金が減るのか?


1.最低限の返済額について

 無担保部分の借金が100万円より多く、500万以下の場合

 借金を最大「100万円」程度まで減らすことが出来ます。



 無担保部分の借金が500万円より多く、1500万以下の場合

 借金を最大「5分の一」程度まで減らすことが出来ます。


 ※住宅ローン部分の減額は出来ません。



2.債権者への返済について破産した場合よりも高率の配当にする必要があります。

 これを難しい言葉ですが「清算価値保証」と呼びます。簡単に言えば、破産で清算する価値以上の額を返済しなければならないという意味です。

 お持ちの不動産、現金、預金、車、保険の解約返戻金見込み額、退職金見込み額から資産を把握し、返済額を考慮します。勘違いして頂きたくないのは、実際に財産を処分したり、保険を解約したり、退職して頂くわけではありません。それらの価値を把握して、返済額を考慮しなければならないことになっているのです。

 価値を把握する上で、車であれば5〜7年程度経過すると無価値と判断することもありますし、退職金の見込み額についても8分の一の資産であると判断されることもあります。

 しかも、その資産価値を1.で記載した最低限の弁済額にプラスするのではありません。1.の弁済額を超える資産価値をお持ちであればその資産価値が最低弁済額となります。例えば、無担保の借金が300万円であれば、個人再生の手続きで最大で100万円程度の返済額になるはずなのですが、150万の資産をお持ちであれば150万を返済することになるというわけです。



3.「給与所得者等再生」では一般的に返済額が多くなります

 1.2.で述べたのは最も多い個人再生の形態である「小規模個人再生」についてです。「給与所得者等再生」では小規模個人再生よりも返済額が増える事が多いです。

 給与者所得者等再生は可処分所得を政令などをもとに算定します。その2年分以上の額を最低限の返済額とするのですが、機械的に算出をするために1.で算出する金額よりも多くなる傾向があります。なお、この場合でも2.の清算価値保証は適用されますので、清算価値の方が金額が多ければ清算価値程度の返済をする必要があります。


4.住宅ローンを返し過ぎると、個人再生での返済額が膨らむことがあります。

 これは非常に悩ましいところではあるのですが、2.の清算価値保証の論点になります。例えば、住宅ローンをつけている自宅の価値が住宅ローンの残債務よりかなり少なければ問題はないのです。住宅ローンの残債務が自宅の価値を大幅に上回っていれば自宅に価値なしと判断されるのです。例えば、住宅ローンが残り2000万、自宅の価値が1000万であるような場合です。

 問題は、住宅ローンをかなり返し終わっていて、自宅の価値の方が上回ってしまった場合です。例えば、住宅ローンが残り500万、自宅の価値が1000万であるような場合です。差額の500万について価値を持った不動産を所有しているとして、2で述べた清算価値保証が問題となります。つまり500万円分の財産をもっているのだから500万以上の返済額にしなければならなくなる可能性が出てくるのです。それを返済できる収入がなければ個人再生が選択できない可能性がでてきます。

 つまり、住宅ローンを組んでそれほどの年数が経過しないうちは個人再生で自宅が守れて、長年頑張りに頑張り、遂に万策尽きたというケースでは、収入がかなりなければ個人再生で自宅が守れないということになりかねないのです。


個人再生の種類

 個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つの種類があります。

 《小規模個人再生》
 将来において継続的または反復して収入を得る見込みがある事が必要です。
主に小規模な自営業者などが想定されています。(普通の給与者でも選択出来ます)債権者の一定の同意を得る必要があります。給与所得者等再生よりも返済総額は少なくなる事が多いです。


 《給与所得者等再生》
 給与もしくはこれに類似する定期的な収入を得る見込みがある事が必要です。
債権者の同意は不要です。小規模個人再生よりも返済総額が増える事が多いです。
給与所得者等再生を利用すると後に再度、自己破産、給与所得者等再生を7年間は出来なくなります


小規模個人再生と給与所得者等再生の選択のポイント

 小規模個人再生は債権者の一定の同意が必要ですが、返済総額は抑えられます。
給与所得者等再生は債権者の同意が不要ですが、返済総額が多くなる可能性があります。

 ただ、小規模個人再生の同意は消極的同意で良いわけです。つまり、反対の意思表示を書面でされなければいいわけです。特段問題のある行動をされた方や執拗な債権者が大口でいない限り、小規模個人再生で上手くいく事が多いです。

 一般のサラリーマンの方でも返済総額を抑えられる小規模個人再生を選択する事がほとんどです。申立件数も給与者所得等再生は小規模個人再生の1割ほどの申立件数しかありません。

小規模個人再生ではどの程度の債権者の同意が必要なのか?

 小規模個人再生の認可を受けるには「議決権を有する債権者の過半数,かつ,その債権額の合計が全債権者の債権総額の2分の1以上の額の同意」があることが必要です。

 簡単に言えば、債権者の頭数の過半数が同意することが前提です。しかも同意した債権者らの債権額が借金の総額の半分以上でなければならないということです。また、同意は消極的な同意でよいことになっています。要するに異議を述べなかったら同意したものと見做されます。

 具体的には、債権者が1社のみの場合はその1社が不同意をすれば不認可となってしまいますし、そうでなくても債権者が少ない場合は2社程度の債権者の不同意で不認可となる可能性があります。

 また、債権者が何社あっても1社だけが極端に債務額が大きい場合はその会社の不同意により、債権総額の2分の1以上の額の同意を得る要件が満たせなくなれば不認可となります。

 個人再生は各債権者の債務額、債権者数などに注意が必要です。


小規模個人再生で実際に債権者の同意は得られるのか?

 個人再生に関する法律は平成13年に施行されました。当初、数年の間は同意が不要な給与者所得者等再生もよく利用されていました。当事務所でも最初は給与者所得等再生も使った再生事案が一定数ありました。

 今では大多数の債権者が基本的に同意のスタンスです。そのことが法律実務家の共通認識になってからは返済総額が少ない小規模個人再生を選択することが多くなり、今では小規模個人再生は個人再生全体の90%の利用率を占めるまでになっている理由のひとつです。
 しかし、取引内容に懸念のある債務者については不同意をしてきますので、なんでも同意をしてくれるわけではありません。あまりにも借り方や返し方などの取引内容が悪いと不同意も覚悟しなければならないでしょう。

 また、一部の債権者については現在も基本的に不同意と決めている会社もありますのでご注意ください。基本的に同意をするという債権者についても当然に同意をするわけではなく、取引の仕方に疑念がある債務者の個人再生事案については不同意をすることがあります。

 その見通しが難しいまま安易に返済総額が少ない小規模個人再生を申し立てても、同意が得られずに不認可となると給与者所得等再生を申し立てし直さなければならないことがあり、その分の報酬も追加となりますので、債権者が同意をしてくれるか否かについては慎重な見極めが必要な局面もあります。


小規模個人再生に同意をしない可能性がある会社は?


 「日本政策金融公庫」は平成20年に国民生活金融公庫と中小企業金融公庫が統合されて成立しました。日本政策金融公庫など公的金融機関は不同意をする可能性があります。但し、状況によって同意をする事例もあるようです。一昔前は、ほぼ不同意をしてくるという認識がありましたが、周りの司法書士の意見でも最近では同意をするケースも増えているようです。

 日本政策金融公庫以外にも「信用保証協会」「共済組合」などが債権者に含まれる個人再生は不同意をしてくる可能性を念頭において依頼人への説明をすることが必要だと思います。

 状況によっては「給与所得者等再生」による個人再生の申し立ても検討をした方がよいと思います。ただ、給与所得者等再生は返済総額が膨らみやすいということなどがある為、全国の個人再生数のうち10%程度の利用しかされてません。


給与所得者等再生について


 個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」があります。それに住宅ローンの返済を継続する場合には「住宅ローン特別条項」を付けます。

 小規模個人再生の認可を受けるには「議決権を有する債権者の過半数,かつ,その債権額の合計が全債権者の債権総額の2分の1以上の額の同意」が必要です。同意は、消極的同意で構いません。

 「給与所得者等再生」の最大のメリットは、「債権者の同意は不要」であることです。最大のデメリットは、小規模個人再生より、「返済総額が膨らむ場合がある点」です。

 判所の統計上、90%以上の割合で、「小規模個人再生」が選択されています。よって、「給与所得者等再生」は、ごく例外的な場合に選択します。ちなみに、平成25年度の司法統計によると、小規模個人再生は約7600件、給与所得者等再生は700件です。


《「給与所得者等再生」を選択する理由等》

 債権者の同意が得られず、小規模個人再生が不認可になる恐れがある場合に、「給与所得者等再生」を選択する事が多いです。「給与所得者等再生」は債権者の同意が不要です。債権者は意見を述べることは出来ます。

 主に、最初から反対が予測される債権者がいる場合や、借りて返済がほとんどできていない場合など債権者の反感を買っている場合で、それらの債権者の頭数や議決権が過半数に及んでいるときは、「給与所得者等再生」の選択を検討します。


《詐欺的借入だと思われる場合》

 浪費があまりにも顕著で詐欺的とも思える借り方である場合、自己破産だと免責がされない恐れがあるので、免責不許可事由のない個人再生を検討することも考えられます。ただ、ひどい浪費をされている方の場合、いずれの債権者との取引期間もわずかで、詐欺的とも思えるほどの取引内容が見受けられることがあります。

 そのような場合、確かに個人再生には浪費などの免責不許可事由はないものの、小規模個人再生を選択しても不同意となり認可されない恐れがあり、給与者所得等再生を選択も視野に入れる必要がありますが、給与者所得等再生は返済総額が膨らむ場合があり、収入によっては履行できない恐れがあります。

 また、詐欺的な借入であることが顕著だと、債権者から詐欺罪を指摘されたりします。そのような状況下で個人再生を強行すると「債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害として賠償請求」をされることもあり得ます。「債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償」は再生債権として債務縮減の対象とならず、給与者所得等再生でも履行可能性が期待できないとも思えます。

 忠告しておきたいのは、自己破産でも個人再生でも、返済できる可能性がないことを認識しながら「どうせ債務整理をするから今のうちに借りておこう」とだけは思わないで欲しいのです。あとで、取り返しのつかないことになりかねません。
 

《給与所得者等再生の返済総額》

 給与所得者等再生の最大のデメリットは小規模個人再生より、「返済総額が膨らむ場合がある点」です。

 小規模個人再生と異なり、「可処分所得要件」(可処分所得額の2年分の金額)を算出する必要があります。算出については政令で定められています。政令の内容は細かいので説明しませんが、収入、被扶養者、住んでいる地域などにより大きく異なってきます。

 分かりやすく単純に言えば、「収入が比較的多い」、「一人暮らし(被扶養者がいない)」と、小規模個人再生と比較して、かなり返済総額が膨らみます。小規模個人再生よりも2倍〜3倍の返済総額になることもあります。

 具体的には、小規模個人再生では返済総額が100万円程度になる場合でも、給与所得者等再生だと、被扶養者がおらず年収300万の方で返済総額が200万を超えてくることもあります。年収が500万位の方だと被扶養者がいても返済総額が300万を大きく超えてくることもあります。なお、「返済総額」は通常、3年間の分割払いで返済をします。

 「収入は安定しているが多くはない」「結婚しており被扶養者が多い」等の場合だと、給与所得者等再生を選択しても小規模個人再生と、ほとんど変わらない返済総額に収まることもあります。具体的には、年収330万程度で、被扶養者がいるような場合です。


給与所得者等再生の返済額の算出にあたり必要な情報は以下の通り。

1、住所(市町村)
2、世帯人数と、それぞれの年齢。
3、源泉徴収票(支払金額、源泉徴収金額、社会保険料等の金額)
4、課税証明書(住民税額)

 ※住民税の金額の概算であれば、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた金額に10%をかけることで算出できます。


破産と個人再生の選択のポイント

 個人再生は住宅ローンをそのまま返済しながらその他の借金を圧縮できます。ただ、住宅ローンの返済自体が厳しい場合は個人再生では解決が図れませんので自宅を売却して負債を返済する必要も生じます。

 それでも返済が出来ない場合は破産も視野に入れなければなりません。余裕をもって住宅ローンの支払いは出来るが、他の借金の負担が大きい場合は個人再生が適しています。あくまでもある程度の余裕がないと個人再生は適さないと思います。個人再生をしたからといって全ての債務がなくなるわけではなく返済は続く訳ですし、住宅ローンの負担も変わらないからです。

 余裕が全くなければ破産をして再スタートをして頂く方が結果としてよいと思います。もともとの収入が少ない場合、破産と再生では破産を選択された方がベストだと思われる事が多いです。収入が少ない場合でも住宅を守りたい一心で無理無理に個人再生をする事は出来ないことはないですが本当にその方の為になると私は思われないのです。無理にギリギリの収入で個人再生をして住宅をその時は保持出来ても計画がかなり厳しいので不測の出費にまず耐えられません。ほとんどの方はそこを計算にいれようとしません。老後もどうなるのでしょうか?何年後に破たんすれば失った時間やそこで生活した思い出の全て、悲しさや虚しさが増すだけになってしまいます。早めに思い切った整理を決断すれば、早目に良い結果が生まれるのです。決断を遅らせれば痛みは逆に増すのです。

 警備員や生命保険募集人など一定の資格で生計を立てているような場合は、自己破産をすると職を失ってしまいますので資格制限のない個人再生も検討した方がいいです。ただ、それでも返済できなければ職を失ってでも破産を選択せざるを得ないことがあります。


住宅を守るための個人再生のポイント

 主に以下の2つのポイントにあてはまる方は破産よりも個人再生が適している可能性が高いです。

(1)住宅ローン以外の無担保の借金があり、その返済が苦しい。

(2)無担保の借金が大幅に減額できれば住宅ローンの支払いは継続できる。


(2)が特に重要です。無担保の借金がなくても住宅ローン自体の支払いが厳しい場合には結局自宅を守ることはできないからです。

 無担保の借金を大幅に減らすことができれば、住宅ローンは滞りなく支払うことが出来る方であることが必要です。
個人再生手続きを行うことにより、無担保の借金は大幅に減りますが自己破産と異なり、全ての債務が無くなるわけではないので分割での支払いが必要になります。それに加えて住宅ローンの支払いも継続出来る位の継続的かつ一定レベル以上の収入が必要です。


無担保の借金がなくても住宅ローンの返済が難しい場合は大きく2つの方法に分かれます。

・住宅を売却すれば、住宅ローンを完済できる。
  住宅は保持できませんが、住宅ローンからは逃れることが出来ます。

・住宅を売却したとしても、住宅ローンが残る。
  返済できないほどローンが残る事が予想される場合は自己破産を検討する必要があります。

マンション管理費や修繕積立金の滞納分がある場合、滞納を解消しないと住宅資金特別条項を利用出来ません。


「再生委員」が選任されることがあります。

 再生委員とは裁判所から選任されて財産の調査や助言などを行う方のことです。ほとんどの場合弁護士が選任されます。

 岐阜地方裁判所では基本的に再生委員は選任されません。名古屋地方裁判所一宮支部でもあまり選任はされません。ただ、名古屋地方裁判所本庁では選任される方向です。このことだけではなく裁判所によって運用が異なりますので注意が必要です。

 再生委員が選任されますとおおよそ10万円以上の金銭的負担が依頼人に発生します。予納金として裁判所に支払います。


車の引き上げと個人再生について


1.個人再生をすると自動車はどうなるのか?

 基本的にローンを完済した自動車は、個人再生をしても、そのまま保有することができます。この場合は個人再生をしても車がとられる、ということはありません。ローンがまだある自動車をお持ちの方が個人再生を行うと、原則として自動車を引き上げとなります。

2.ローンのある普通自動車

 車検証で「所有者」の確認がまず必要です。所有者が「債権者である信販会社」であれば信販会社は車を引き上げることが出来ます。別除権者である信販会社は車両を引き上げて、換価し、債権に充当します。残った債権は他の再生債権と同様に縮減の対象となります。

 所有者が「債権者ではない単なる販売会社」、いわゆるディーラーになっている場合は引き上げることができないと解されています。(最高裁平成22年6月4日判決)

 所有者が「債権者ではない単なる販売会社」であることから車の引き上げが出来ない場合の車のローンは別除権ではないので他の再生債権と同様に縮減されます。ただ、平成22年の最高裁以後は所有権者を債権者で登録しているはずですから今後は引き上げを拒否できる事例はなくなっていくと思われます。


3.ローンのある軽自動車

 軽自動車は車検証の名義では判断できません。契約書で判断します。軽自動車の対抗要件は登録ではなく、引き渡しか占有改定とされているからです。(道路運送車両法4条、5条)契約書上では信販会社に引き上げの権利があることを明記されていることが通常ですので、ローンのある軽自動車を引き上げられることを拒否することはほぼできないと思います。


ご家族に内緒で個人再生を検討されている方

 自己破産や個人再生といった法的整理の場合はご家族に内緒の状態で依頼を承ることはできません。

 理由としては、手続き上においてご家族の理解が必要であり、事実上、知られずにおくことが困難だからです。また、テクニカルなことだけではなく、自己破産や個人再生後の生活状況には家族の支援は欠かせません。

 私の知る限りの司法書士や弁護士はもちろんですが、多くの司法書士や弁護士は家族に内緒での自己破産や個人再生の依頼をむやみにお受けすることはないであろうと思います。少なくともご家族に話して理解を得るべきことを勧めるでしょう。

 私も配偶者に内緒であると言われる方の個人再生や自己破産については「配偶者に打ち明けて協力を求めてください」と必ず言います。実際に多くの方が打ち明けられ、「気が楽になった」「理解をしてもらえた」と言われる方もいらっしゃいます。

 逆に関係が微妙なものになることもあるかもしれませんが、それは仕方がないことだと思って開き直ってください。胸の奥に大きな隠し事が無くなったことが一番大きい収穫だと思います。ただ、配偶者に内緒にしていても「借入をしているらしい」「収支が厳しいようだ」ということは知られていることがほとんどです。

 「絶対に自己破産、個人再生をすることを家族に内緒にして欲しい」と言われる方もいらっしゃいますが、それではお受けすることは難しいかと思います


住宅資金特別条項について


1.相談の際に用意する書類

 ご相談の際は「住宅ローン契約書」「その土地建物の登記事項証明書」をご用意ください。これを見ない限りは住宅資金特別条項が利用できるか否かがしっかり判断できません。住宅ローン契約書がない場合は金融機関にお問い合わせ下さい。登記事項証明書はお近くの法務局にて取得できます。


2.住宅資金特別条項とは?

 自己破産の債務整理の方法によると、住宅ローンへの返済もできずに住宅は失うことになります。ただ、どうしても住宅ローンの付いた自宅は守りたいという方がみえます。

 個人民事再生には「住宅資金特別条項」の制度が設けられており、無担保の借金を減額し、住宅ローンはそのまま支払う事が可能になっています。住宅資金特別条項について以下で詳述していきたいと思います。


3.リフォーム代金が含まれていても良いか?

 リフォーム代金が含まれていても利用できます。まず、「住宅資金貸付債権」には住宅の建築もしくは購入に必要な資金または住宅の改良に必要な資金であることが要件となっています。住宅建築、住宅の改良以外の貸付債権が含まれている場合は同制度を利用できないことも考えられます。

 住宅ローンを組んでから、年月の経過があると増改築やリフォームがなされ、その資金も含めて借り換えがなされることがあります。リフォーム債権について同制度を利用した実務経験があり、リフォームも含めて住宅ローンとして借り換えがされているのをよく目にしています。金融実務的にも住宅ローンとして取り扱われていますので、リフォーム代金であってもこの制度を利用できます。


4.住宅ローン以外に担保が設定されていると利用できないか?

 住宅資金貸付債権以外の担保権が設定されていると同制度を利用できません。つまり、住宅ローンを組む際には抵当権などの担保が設定されます。それだけであれば同制度を利用できるのですが、それ以外の担保権が設定されていると結局、住宅を失う結果になり、同制度を利用する意味もなくなるからです。(民事再生法198条1項但書、202条2項3号)

 他に問題となり得るのは、UR都市再生機構(旧住宅・都市整備公団)や住宅供給公社から分譲住宅などを購入すると、買戻特約登記が設定されます。上記で述べた民事再生法198条1項但書、202条2項3号の問題があり、同制度を利用できるのかURや裁判所と協議をしたほうがいいでしょう。

 私見としては、この場合の買戻特約は担保としての意味合いではなく、自己が居住することを顧客に求め、転売を防ぐという目的のもとで登記されたものだと思われます。よって、担保権ではなく、個人再生により使用する権利を失うこととならない為に同制度を利用できると思っています。


5.夫婦が連帯債務による住宅ローン(リレーローン)の場合に夫のみが利用する場合は?

 リレーローンとは、夫婦が「1個の住宅ローン契約」により、「連帯債務者」となっており、夫婦が共有する住宅の全部に「1個の担保」を設定することを指します。夫婦を親子と読み替えてもらっても同様です。6.で述べるペアローンとは違います。

 夫は単独で個人再生を申し立てて同制度を利用することが出来ます。この場合に住宅ローン契約に抵触し、妻について期限の利益の喪失が懸念されますが、民事再生法203条1項より、住宅資金特別条項による期限の猶予は、個人再生を申し立てをしていない妻に関しても効力を有することになります。


6.夫婦それぞれが主たる債務者となり、住宅ローン契約をする(ペアローン)の場合に夫のみ利用する場合は?

 ペアローンとは、夫婦で「2個の住宅ローン契約」をし、夫婦が「それぞれが主たる債務者」となり、共有する住宅の全部に「2個の担保」を設定することを指します。夫婦を親子と読み替えてもらっても同様です。

 同制度の利用には法律を形式に解釈をすると法文上、抵触する懸念があります。他人の負担する債務を担保するために自己の持分にいて担保を設定している(物上保証)ので民事再生法198条1項但書に抵触する可能性があります。学者からは立法時には予測されていなかった問題であると指摘をされています。

 民事再生法198条1項但書の趣旨は、担保権の実行により住宅資金特別条項を設けても無意味になってしまうことを避けることにあります。そのよう担保の実行がされないのであれば認めても差し支えないという運用も見られるようになっています。

 ペアローンの際に住宅資金特別条項を認める要件としては、@同一家計を営んでいる者がいずれも個人再生の申し立てをするAいずれも住宅資金特別条項の利用をする、この2点をクリアすることによって大阪地方裁判所第6民事部、東京地方裁判所は運用をしています。リレーローンと異なり、夫婦の片方だけが個人再生を申し立てても同制度を利用できません。ただ、運用が明らかではない地方裁判所に関しては事前に裁判所と協議の上をしたほうがよいでしょう。



公務員や大手企業にお勤めの方が破産や個人再生をする場合の問題点

当事務所は公務員や大手企業の方が破産、個人再生、任意整理も多く取り扱っています。
その際に検討しなければいけない問題点を挙げます。

問題点1. 欠格事由

国家公務員法・地方公務員法において自己破産が欠格事由に挙げられてはいません。

つまり「破産をすると公務員をやめなければいけない」と法律上は定められていません。
但し、公正取引委員、人事官、公安委員など特殊な役職の場合は自己破産が欠格事由となります。


問題点2. 公務員共済組合からの借り入れ

よくあるケースとして公務員共済組合からお金を借りている場合は自己破産をすると職場に知られてしまい、事実上、職場に居難くなることはあるかもしれませんが、これをもってしても公務員をやめなければいけないということにはつながりません。

なお、自己破産はすべての債権者が対象となってしまいますが、任意整理であれば共済組合だけを除外して手続をすることができます。


問題点3.退職金の取り扱い

公務員の方でもう一つ問題があるのは退職金の取り扱いです。
公務員で長年勤務されている方は退職金が相当の金額にのぼります。

一番簡易な自己破産は同時破産廃止と呼び、財産がないので管財人を選任させずに破産手続きが終了する形式です。この場合は費用の負担は軽いです。個人の方の自己破産は多くは同時破産廃止です。

しかし、退職金の見込み額が一定額以上になると、管財人を選任する自己破産の形式となります。公務員を退職する必要はありません。

この場合は管財人を選任する費用として裁判所に予め納めなければいけないので簡易な自己破産である同時破産廃止の形式と比べて金銭的な負担が桁違いに大きいです。

同時破産廃止の実費がおよそ1万5千円であるのに対し、管財人の選任が必要な事案になると数十万円が必要です。一般的に自己破産を申し立てる場合の司法書士や弁護士への報酬も同時破産廃止よりも管財人の選任が必要な事案の方が高くなります。

また、債権者への分配に充てる為、事案により異なりますが、退職金の見込み額の8分の1〜4分の1程度を積み立てしなければいけません。

退職金が高額になりがちな公務員や大手企業のサラリーマンにとっては負担が重くなります。


《退職金見込み額証明書》

退職金見込み額証明書を裁判所に提出する必要があります。お勤めを継続されたい場合に退職金見込み額証明書をお勤めの役所や企業に発行を求めるのは心理的に困難が伴う事は理解しています。その場合は算定根拠と算出結果を裁判所に提出すれば足ります。

国家公務員であれば国家公務員退職手当法や地方公務員であれば各自治体の退職手当条例等を根拠に算出できますので職場に退職金証明書を発行を求めることは必要ありません。企業の場合も退職金証明書は必要ありませんが、算出の根拠となる、退職金規定などをご提出いただく必要があります。


自己破産以外の手段

任意整理

一番に負担が軽いのは先に述べたとおり、任意整理です。
共済組合など本人にとって都合の悪い債権者を除外できます。
任意整理は裁判所に申し立てるということがないので、自己破産と異なり、管財人の費用もありません。
退職金を積み立てるという必要ももちろんありません。

18%を超える金利で長期間取引している消費者金融や信販会社があれば大幅な債務の減額や過払い金の発生も見込めます。しかし、公務員や大手企業の方の特徴として銀行のローンや18%以下の金利で多額の借り入れをしているケースが多いです。貸す方も公務員や大手企業ということを見ているのでより多くの貸付を行う結果、任意整理での解決が困難な状況の方もいらっしゃいます。


個人再生

個人再生の特徴として無担保債権を大幅に圧縮でき、それを3年程度で分割で支払う事が可能ですが、自己破産のように全額の免除は得られません。

自己破産と同様なのはすべての債権者を裁判所に申告する必要があります。
よって、公務員共済なども除外できません。

退職金が多い場合に個人再生を選択すると、その8分の1〜4分の1程度を上乗せして「分割」で支払うことになります。自己破産と異なり退職金の一部を積立ではないので、積立のめどが立たない方は個人再生を検討する余地もあるといえるでしょう。また、管財人の選任も必要はありませんので手続きも管財人事案ほど複雑化せず自己破産よりも本人の心理的負担も軽いと言えます。(個人再生委員が選任される裁判所がありますが自己破産の場合に管財人を選任されるよりも金銭的負担は軽いです。)

但し、個人再生は圧縮した借金の一部を3年や5年の分割で支払うことが可能とはいえ、退職金が多い場合はその8分の1〜4分の1程度の上乗せも必要なので、それなりの返済総額となってしまいます。つまり、返済総額が膨らめば分割の1回あたりの返済額も膨らみますので、退職金が相当に高額な場合は分割の返済でも仕切れない恐れがあります。

公務員や大企業などにお勤めの方はあくまでも自己破産だけはしたくないという方も多いです。通常は3年、最大で5年の分割で支払える計画が立てられる方に関しては自己破産ではなく個人再生も検討の余地があるといえるでしょう。これが無理であればご親族から借金の穴埋めのための多額の援助でもない限り、自己破産は避けるのは非常に困難だと思います。



《個人再生とは》

Q どういう場合にこの手続きをするのですか?

A この手続きを選択する場合として代表的な事例が2つあります。
  まず、住宅を失いたくないので住宅ローンは支払いたいが、自己破産では住宅は保持出来ません。
  かといって任意整理では債務が多く残り過ぎて支払い切れないという場合です。この例が一番多いです。
  次はあまりない事例ですが浪費が激しすぎて自己破産が認められない可能性がある場合です。


Q 司法書士や弁護士に依頼をしたら書類の収集も全てお任せできますか?

A 書類の収集はほぼ本人で行っていただく必要があります。司法書士や弁護士の職権で全ての書類の収集をすることはできません。一般的に司法書士や弁護士が依頼をお受けした後、辞任するケースで多い理由の一つに、依頼人が書類の収集を迅速に行わないことがあります。いずれにご依頼されるとしても、書類の収集をちゃんとしないと信頼関係が無くなります。ご自身の事ですので積極的に協力するようにお願いします。


Q 個人事業を営んでいるのですが個人再生は利用できますか?

A まず、個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」があり、住宅ローンの支払いを続けたい場合は「住宅ローンの特別条項」を入れていきます。小規模個人再生は自営業者でもサラリーマンでも利用できます。給与所得者等再生は文字通り給与所得者に限ります。「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」については次のQで触れます。

Q 現在、無職で収入がないのですが個人再生は利用できますか?

A 収入が無い限り、残念ながら破産を選択頂く可能性があります。ただ、近いうちに再就職が確実である場合には個人再生を利用出来る可能性はあります。専業主婦でも

Q アルバイトをしているだけですが個人再生は利用できますか?

A アルバイトでも出来る可能性はあります。ケースにもよりますがアルバイトをしているだけでは収入がかなり不安定であり当事務所としては個人再生はあまりお勧めしません。

Q 「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の違いを教えて下さい。

A 色々と異なる点はありますが、簡単に噛み砕きますと小規模再生は弁済額が給与再生よりも少なくなる傾向があります。但し、債権者の反対が一定数出ると利用出来なくなります。ただ、反対が出る事は少ないです。よって、小規模再生が多く提出されているのが現状です。給与再生は収入が多いと小規模再生よりも弁済額が増える可能性があります。給与は債権者の同意は必要ありません。

Q 個人再生ではどの程度債務を圧縮出来るのですか?

A 住宅ローン以外の債務はおよそ5分の1となります。5分の1が100万を下回る場合は100万です。これをおよそ3年の分割で返済していくわけです。ほとんどの場合はこれに当てはまります。但し、財産が多い場合や収入が多い場合はこれより多く返済しないといけない事もあります。負債額によっては個人再生が適用出来なかったり、債務の圧縮比率も変動します。具体的には依頼をした司法書士や弁護士にお問い合わせ下さい。


Q  給与の振込先の銀行からフリーローンを借りています。

A 債権者は全て裁判所に申告をしますので、その銀行預金口座は凍結されます。この場合は必ず、給与の振込先を別の金融機関にしてください。なお、お金を借りていない銀行の預金口座が凍結されることはありません。


Q 住宅ローンを組んでいる銀行からフリーローンも借りています。

A その銀行の預金口座が凍結されますので、その口座から住宅ローンを引き落としている可能性は非常に高いので、このままでは住宅ローンの支払いが遅滞してしまいます。銀行と打ち合わせをして、口座の引き落とし以外の手段で住宅ローンが支払えるように協議すべきです。


《住宅ローンがある場合の個人再生》

Q 住宅は守りたいので個人再生をしたいのですが住宅ローンの負担だけでも重荷に感じています。

A 住宅をお持ちの場合は住宅を保持していきたいのは当然の理だと思います。

  ただ、多重債務に陥った原因が住宅ローンの支払いが重荷である事が多いです。そもそもの原因が住宅ローンであれば元凶を断つ 必要があります。再生をすれば他の債務はかなり圧縮できるものの全て無くなる訳ではありません。思い入れのある住宅でしょうが、そのまま住宅ローンを支払っていけばお子さんの学費の捻出が厳しくなる事が多いのです。

住宅を守ってお子さんの将来が閉ざされる事だけは避けねばなりません。本末転倒です。お子さんが大学に行きたいと言った時にお金がないから諦めてと言うのは辛いですよ。お子さんが家計を察して自分から大学の夢を諦めているという事の方が多いかもしれません。いくら本人が再生を希望しても私が客観的に長期的展望に立って厳しいと判断すればご自宅は諦めて頂き、破産をお勧めする事もあります。私のイメージとしては再生をして住宅ローン以外の債務が圧縮できれば住宅ローンは「余裕で」支払っていける方を想定しています。そうでなければ将来の備えが出来ません。住宅ローンは多額かつ長期の支払いを求められる負担の重い買い物です。簡単に、はいOKです、とは言えないのです。本人は住宅を守りたい、今をしのげれば何とかなるという短期的な視野しかもっていない事が多いです。私が客観的、長期的な視点からアドバイスする事が重要なのです。


Q 自宅に住宅ローン以外の担保が付いているのですが個人再生で自宅は守れますか?

A 残念ながら守れません。住宅ローンの支払いに関してだけの特則です。ちなみに自宅に住宅ローン以外の担保が付いているかどうか分からない場合は法務局で登記簿謄本を取得すれば分かるかと思います。


Q 自宅のリフォーム費用として自宅に担保がついています。

A 使途をきちんとリフォーム費用として利用されているのでしたら、個人再生でその費用を支払いながら無担保の借金だけを減らすことも可能です。


Q 住宅ローンに連帯保証人がついています。連帯保証人も個人再生を申し立てなければいけないでしょうか?

A 住宅ローンの主たる債務者が個人再生を申し立てれば連帯保証人にも効力は及ぶので、連帯保証人も個人再生を申し立てなければならないという訳ではありません。


Q 妻とペアローンによる住宅ローンを組んでいます。妻も個人再生を申し立てなければいけないでしょうか?

A 基本的に奥さんも個人再生を申し立てていただくことになります。


Q 住宅ローンのある自宅を離れ単身赴任中です。戻ったら住むつもりですが自宅は個人再生で守れますか?

A 自己の居住の用に供する建物である必要がありますが現に住んでいなくても利用できる可能性はあります。


Q 賃貸アパートの経営もしており、ローンが残っています。賃貸アパートは個人再生で守れますか?

A 自己の居住の用に供する建物である必要がありますので守れません。


Q 店舗兼住宅に住宅ローンをつけているのですがこのような場合は如何でしょう?

A 床面積の2分の1以上に相当する部分がもっぱら自己の居住として使用しているのであれば住宅ローン特則を利用出来るかと思います。2世帯住宅も同じことが言えます。


Q 住宅ローンの残債務が300万円です。住宅を売却すると800万円になります。個人再生をするのに問題はありますか?

A 住宅を売却すると仮定した場合、住宅ローン後に手元に残るお金が500万円あると言う状態になっています。そうなりますと住宅を売却しなくても500万円の財産をお持ちだと言う事になり、個人再生をする場合は財産の額以上を返済しなくてはなりませんので、この場合は500万円以上の返済をしなければいけないことになります。(清算価値保障の原則)

 このケースで言えば、住宅ローン以外の借金が500万以下かそれに近い数字の場合、個人再生の手続きをするメリットがなくなります。前提としてこのような場合は売却の査定が必要です。2社以上の不動産業者の見積もり、もしくは不動産鑑定士による簡易鑑定などを用います。


《財産について》

Q 自己破産ではなく個人再生をする場合でも財産を処分したりする必要はあるのでしょうか?

A 個人再生では財産を処分する必要はありません。ただ、個人再生では少なくとも破産をする時と同等には債権者に返済しなければいけない事になっています。これを「清算価値保障の原則」といいます。よって財産が多ければそれだけ返済する額も多くなります。


Q どういった財産を申告すればよろしいのでしょうか?

A 主に申告して頂く財産としては@現金、A預貯金、B保険 C積立基金等、D敷金等、E貸付金、売掛金、F退職金、G不動産、H自動車、H株式などの有価証券 Iその他、高額になると思われる財産。


Q 家財道具も試算して財産として申告しなければいけないでしょうか?

A 明らかに高額になる家財道具でなければその必要はありません。ただ、売却すれば高価な買い取りが期待できる場合は財産として申告して下さい。ブランドの高級家具や新品の大型家電製品などが挙げられます。普通は財産として申告しなければいけない家財道具をもっている方はほとんどいません。

Q 10年位乗っている軽自動車があります。このような車でも査定しないといけないのでしょうか?

A 日本車の場合、普通自動車で初年度登録から7年以内、軽自動車は5年以内であれば無価値と判断されます。(岐阜地裁の運用による)その場合は財産として計上することはありません。


《資格制限》

Q 警備員(生命保険募集人)の仕事をしています。仕事をやめないといけないですか?

A 破産の場合と異なり、個人再生は資格制限はありませんので辞めなくても結構です。


《必要な書類》

Q 個人再生に必要な書類ははなんでしょうか?

A 具体的な事情により書類に変動がありますが一般的なものについてご説明します。

1 個人再生申し立て前、3カ月以内に取得した戸籍謄本

2 個人再生申し立て前、3カ月以内に取得した住民票
 *世帯全員の記載があり本籍と続柄に省略のない事
 *住民票上の住所と現在お住まいの場所が異なる場合は賃貸借契約書や居住証明書が必要です

3 預金通帳の表紙部分と裏表紙と過去1年分のコピー
  *お持ちの銀行口座全てについて提出頂きます。
  *定期の取引がなくても定期預金の部分もコピーして下さい。
  *一括記帳となってしまっている場合は銀行からその期間の取引明細書を出してもらって下さい

4 保険の解約返戻金が見込める場合は申し立て前、3カ月以内に取得した保険証券もしくは契約書と解約返戻金(見込)額証明書

5 勤続5年以上の場合は退職金(見込)額証明書
  *申し立て前2年間に退職金を受給している場合も必要です
  *退職金(見込)額証明書がない場合は退職金支給規定と計算書

6 不動産をお持ちの場合は不動産登記簿謄本、固定資産評価証明書。
  *配偶者や同居親子が所有の場合もご提出下さい。
  *過去2年以内に所有されていた場合は上記の書面並びに処分した際の契約書や使途に関する領収書も必要です

7 車をお持ちの場合は車検証。車検証がない場合は登録事項証明書
  *普通自動車で初年度登録から7年以内、軽自動車や商用自動車は5年以内であれば2業者程度の査定書。

8 直近2年分の所得証明書
  *源泉徴収票。ない場合は市区町村長発行の基礎控除、保険料控除等の記載もある課税証明書
  *配偶者がいる場合は配偶者のものも必要です
  *所得がない場合でも課税証明書は必要です。

9 再生申し立て、直近2ヶ月の給与明細書
  *配偶者も給与取得者である場合は配偶者のものも必要です。

10 生活保護、公的年金、失業保険を受けている場合はそれらの受給証明書
  *配偶者も受給がある場合は提出頂きます。


《再生計画の取り消し》

Q 個人再生の認可を得て返済してきましたが、支払いを怠ってしまいました。どうなるのでしょうか?

A 再生計画に基づいた返済を怠りますと債権者から再生計画の取り消しを裁判所に申し立てられる可能性があります。支払えるのでしたら債権者に丁重に詫びて返済をして頂く必要があります。


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