ジャムと紅茶と甘いキス










キッチンの中に、甘く優しい香りが満ちる。
朝から煮込んでいたイチゴジャムが、そろそろ仕上がりの時を迎えようとしているのだ。
じっくり煮込まれたジャムは、鮮やかなルビーの様な輝きで…今、保存用に煮沸消毒した広口瓶に移し変えられていた。


「ううーーーーーーん、すっげぇイイ匂いだなぁ〜〜サンジ!!食わせろ早く!!」


がたがたとテーブルを揺らして、待ちきれないルフィが叫び…その度に俺様の手元も揺れる為、いい迷惑だ。
こつこつと製作していたボトルシップが、後少しで完成しようと言うのに、ここで邪魔されてなるものかっ!と、気合を入れ直し…細い部品を摘み上げた時だった。


「うし、完成だ!」


と、サンジの声が響いた。テーブルの上には、赤く輝く瓶が4個程確認出来…暫くは朝食に美味なジャムが頂けるな、と思っているとルフィが文句を言い出した。


「サンジ〜今すぐ喰おうぜこのジャム!!パンでもクラッカーでもホットケーキでもいいぞ!何ならこのままで…」
「こんの…クソゴム!何の為にジャムにしたと思う!保存するに決まってるだろうが!」


てめぇはコイツでも舐ってろ!と、サンジは空になった鍋をルフィに差し出した。
中にはまだ、結構な量のジャムが付着しており…嬉々として鍋を手に飛び出して行った所を見ると、多分特等席で舐めるのだろう。

何とか上手くいった接着作業に満足した俺様は、乾かす為に船体を窓際に移動させた。


「おら、一息入れろよ」


と、サンジの声と共に甘い香りが鼻先を擽った。
紅茶に添えられたスプーンの先に、ちょっとだけ乗っかった…赤いジャムが香りの正体だ。



「…これって?」
「ロシアンティー。このジャムを少しずつ舐めながら、紅茶を楽しむのが正式なんだ」
「へぇ……サンキュvvv」


俺様の中でのロシアンティーと言うと、紅茶の中にジャムとブランデーを混ぜ込んだ物…と言うイメージがあったので、かなり新鮮だった。
まして出来たてのジャムを味わえるというのだから、願ったり叶ったりで…早速、言われた通りに飲んでみる。

ふわり、と甘い香りが紅茶と混ざり合い…しかし、その香りは紅茶を邪魔する…所か、より一層引き立てあう感じがして…
どんな方法でこの液体が抽出させられるのかはサッパリ分からないが……兎に角、美味かった。





「……っは〜!美味かったっ!!コレ最高だサンジ!」
「そうか?」
「おうっ、何か上手く言えねぇけど…こう、イチゴジャムが甘すぎなくて。や、甘いんだけど邪魔してないって言うか…飲み易いし良いニオイだし…」




上手く言葉が出なくて、そんな風にしか言えなかったが…
サンジが凄く嬉しそうに笑ったから、俺様も嬉しくなった。









                      *








俺は出来たての瓶を一つ…光に翳してみた。
窓からの光にきらりと輝くその赤が、とても鮮やかで…本当に宝石の様に美しかった。


「なあ、どうやったらそんな美味いジャムが出来るんだ?」


余程ジャムが美味かったのか、ウソップがそう聞いてきた。
聞かれて悪い気はしない…所か、嬉しい事この上無い訳で…



「まずは、粒の揃ったイチゴを用意するんだ。ソイツを適量の砂糖に半日漬け込むと…芯まで甘みが浸み込むんだ。後は20分程煮込むんだが…」


真剣に聞いてくれるウソップに、幸せを感じながら…俺は取って置きの秘訣を教える事にした。


「最後にポイントが一つ☆煮込んでる間にな、キレイだなvとかすっげー可愛いぞvって思いながら煮込むんだ」
「はい?」


ウソップは何言ってるんだコイツ…みたいな顔になったが、俺は気にせずに話し続ける。


「だってよ、褒められると悪い気しねぇだろ?どんな料理だってそうさ!俺の愛情がタップリ入ってるんだぜv」


そう締めくくった俺に…





「……女、口説くのと同じ原理ってか?」





と、のたまうウソップはぷいとそっぽを向き…微かに頬を染めているように見えるのは、気のせいだろうか?
まるで、ジャムに嫉妬しているような…そんな様子につい、笑みが浮かんでしまい…そして、自分が普段…ウソップに対してそういった態度を取っていない事に気付いた。
そして、気付いたからには行動に移さないなんて…俺のポリシーに反する訳で。










「………ウソップ…きれいだよvv」
「はいぃぃぃぃぃ!?」









それまで合わせようとしなかった視線をガッチリ合わせ、俺は尚も囁く。




「オマエはなんて可愛いんだvvこの可憐な唇もつぶらな瞳も、愛らしい鼻も、全てが愛おしくて…俺はその魅力に心臓を打ち抜かれた哀れな男さ………」
「サ、サンジ………」




ウソップは、突然言い出した俺に胡乱気な瞳を向けるも…真剣な俺の様子に、すぐに真面目な顔になった。
本当に思っている事を伝えるのも、たまには大事だよな…と思うと、欲張りな俺はウソップからも聞きたくなってしまった。






「な、ウソップ…オマエも聞かせてくれよv俺のこと、どう思ってるか…ってさvv」





と、耳元で囁けば…其処にはイチゴジャムよりも赤くなっているウソップがいて…
愛しさが俄然湧き上がり…だけどこの様子では、答えは期待出来ないだろうな…と思っていると、ウソップの指が頬に伸びてきて……優しいキスで応えてくれた。











「な、もう一回vv」
「………仕方が無ぇヤツ……」









麗かな午後の光が満ちるキッチンで、甘い香りと共にひそやかに交わしたキスは………イチゴジャムよりも甘かった。








                               〜END〜















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   GW配布スペシャルペーパーにて掲載致しましたSSです。
   うんうん、甘いですよね〜
   誇れるのソコだけですので(笑)
   サンジだったら、きっと常にウソップに愛の言葉を贈ってそうですが☆
   ウソップはきっと照れまくってて…でも、まんざらじゃないですよきっとvvvv
   好きな人からの言葉は、どんなのでも嬉しいですけど…サンジもきっとウソップ
   からの言葉を聞きたいんだろうなぁvvv
   誰かそういうの書いて下さい(他力本願)

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