アクアリウム

平日に偶然、二人の休みが重なった。
この、カミサマからの授かり物の様な一日を有意義に過ごそう!!
…と勢い込むウソップに引っ張られてやって来たのは…ファミリーやお子様向けの水族館だった。
流石に来館者の姿は少なく…二人きりを満喫するには、まあまあの場所だった。
しかし、当のウソップはと言うと……

「うおーーーっ!デカイ亀だ!!すげーーーーー!!!」

とまあ、入った時からこの調子だ。
俺だって、料理人だから魚には詳しいし…結構好きな場所だが、折角デートの名目で来ているのに…
肝心の恋人はガラスの向こうの海洋生物にすっかり魅了されてしまっているから面白くない。

「お、アレ鰤だろ?で、あっちは鯛、であれは……ウマヅラハギか?」

俺の存在なんざどうでも良いようなウソップに…しかし、折角来たのだから楽しもう!
と思い直した俺は、隣へと近付いた。

「な、ウソップ。この後メシどこに喰いに行く?」
「ん?そーだな…まあ、出てから考えりゃいいじゃねーか」

もっともな返事に、そうだな…と曖昧に返事を返しつつ、横顔を見れば…心底楽しそうなウソップがいて……



……俺…いなくても良い感じじゃ無ェか!?



等と言う思いが頭を過ぎった時。
ウソップの腕が伸びてきて…俺を引っ張ったのだ。
それほどの勢いではなかったのだが、あまりに唐突な行動だったので…慣性の法則に
引かれる格好で、俺はウソップに寄り添う格好となった。
ウソップの行動の真意を知りたくて視線を送ると…ソコには俺を見返すウソップの瞳があった。



「な、サンジ………俺様とじゃ、つまらないか?」
「………へ?」



そんな事よりも…ほとんど密着しているようなこの状況はどうすればいいのだろうか。
ウエーブを描く髪から、ほのかに香るシャンプーの甘い香。
男にしては細い項やら木目の細かな頬、長い睫毛に縁取られた黒い瞳。
そのどれもが、手を伸ばせばすぐ届く至近距離にあり…俺の心臓は鼓動を早めてしまう。
そんな俺の心を知ってか知らずか…多分に後者…ウソップは言葉を綴る。

「オマエ、前言ってたじゃねえか…魚には詳しいから、今度一緒に水族館行こうぜって」
「…だっけか?」
「なんだよ、言いだしっぺが忘れてどうするんだってーの!」
「悪い……でもよ、いつ言った?んな事………」
「………確か……」

ウソップは、顎に手を当てて考え込んでいる。その様子からも、相当前の事だったのだろう。
なにせ、俺にはとんとそんな記憶が無く…しかし、魚に詳しい事も事実なので、随分前に自分
がそう言ったのだろう、と思った。

「ん〜〜〜駄目だ、思い出せねェ!!」

絶対オマエだったんだけどな〜と言いながら、頬を膨らませるウソップがまた可愛くて…
俺は肩を抱き寄せた。

「コ、コラ!!場所を弁えろよなっ!!」
「ウソップ、ありがとうな」
「……思い出したのか?」
「ソレはまだムリだけど……でも、覚えていてくれたんだろ?なら……すげー嬉しいvvv」
「…………/////ぉぅ」

恥ずかしいのか、耳まで赤くなりながら…ウソップは離れてしまった。
大分残念だが、まあ一日は始まったばかりで……

「サンジ!またあの亀が来てるぞ!!すげー!!乗ってみてぇな〜」
「亀か。亀は、豚肉と鶏肉の様な部位に分かれており、スープ煮にすると美味いんだぜ」
「…オマエ、それ不謹慎だぞ」
「まあまあ、お、あっちにいるのはブダイじゃねぇか」
「美味いのか!?」
「……………」
「……………」

二人顔を見合わせ…爆笑の渦に巻き込まれた。
先程まで、なんの面白味のなかった水族館が…今は生き生きと見えるから不思議だ。

「よっしゃ、今日は俺が美味い魚の見分け方を教えてやるか!」
「だから不謹慎だってーの!」

そんな遣り取りをしながらも、俺はウソップの手を握った。
ウソップは、最初こそ驚いた様だったが…仕方が無ェなあ……と、笑ってくれた。


貴重な二人の休日には…またこうして過ごそう。


そんな約束を交わすのは……もうちょっと後のお話。








                                                        END



















…書いちゃった(笑)
水葉きりり様に捧げますvvv
気づかれましたらばお持ち帰り下さいませvvv


                                              
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