After a bath










夜の冷気はひたひたと迫り、船全体を包み込んでくる。
男部屋には勿論暖房器具も無く…雪国生まれのチョッパー以外は、毛布を増やしたり…と各々防寒対策を講じている。



「ルフィ、もう一枚毛布要るか?」
「ん?もう大丈夫だぞ〜あったけェ〜♪」


器用にハンモック上に毛布を敷き、にしし、とルフィが笑う。


「こっちも十分だ、もう良いぜ」


ゾロはソファの上に陣取り、寝心地を確認していた。


「よーし、これで今夜から暖かく寝れるな♪」


残った毛布はサンジ用に残して置き、一応の寝床が出来上がった事に俺様が満足していると、上部ハッチが開きサンジが降りて来た。


「おっ、もう準備出来たのか?皆」


この寒いのに、厚手とは言えシャツ一枚のサンジに、見ているこっちの方が寒さを覚えてしまうが、当の本人はと言うと平気な顔で、暑い暑いと言っている。


「サンジ、何か羽織らねェと風邪引くぞ」
「大丈夫だって、まだ暑くってさ…あ、ウソップ、お前で風呂ラストだぞ?」


そう、サンジが薄着で平気なのも、暑がっているも、単にコイツが風呂上りなだけなのである。
いくら毛布を増やしても、体の方が冷え切っていたのでは話にならないので、俺様も早く風呂に入りたかった所だったのだ。



「そっか、なら行ってくるとしますかな♪」


俺様は風呂道具一式を持つと、いそいそとバスルームへ向かった。外は船室より寒かったが、小走りで風呂へと駆け込み扉を開ければ、暖かく湿った空気と共に…シャンプーの残り香が香った。
いつも俺様達が共用で使用しているシャンプーとは、微妙に違ったその香りに足元を見遣れば、見慣れぬシャンプーの容器が目に入った。





「コレ…サンジのかな?」





女性陣専用のシャンプーは、他の物と区別出来る様に別の棚へ纏めて置かれており、勿論俺様達は使用禁止となっている。
しかし、足元の容器はそのどちらの物ともデザインが異なっており…そして、俺様の前に入浴していたのがサンジなのだから、自然アイツの物だと言う事になる。




「アイツ、オシャレだからな〜どれどれ…?」



蓋を開けると、先程香った物より強い…しかし、なんとも言えない良い香りがふわりと鼻先を掠めていった。


「へえ、結構良い匂いじゃねえか」


使ってみたい…と思わない事も無いが、他人の物を無断借用するのも気が引けて…結局、普段通りのシャンプーへと手を伸ばして…中身が空な事に気付いた。





「………ストック…倉庫だったよな……」






寒い中、濡れた体のまま倉庫へ行くなんて絶対嫌である。かと言って、女性陣のシャンプーを拝借するなんて勇気も、生憎持ち合わせておらず…
俺様の指は、仕方が無くサンジのシャンプーへと伸ばされた。








                      








昼間のうちに毛布を増やしておいたとは言え、夜になると冷え込む海の上。何か暖かい飲み物でも…とキッチンへ行った私がココアを入れ終えた所に、風呂上りのウソップが入ってきた。



「お?ナミどうしたんだ」
「ちょっと冷えちゃってさ…アンタはあったかそうね」
「まあ、風呂上りだからな」


ウソップが私の隣に来ると、ふわりと漂うシャンプーの香り。






「あれ…シャンプー変えたの?」






普段男共が使っているシャンプーとは違う香りに、まさか私達用のを!?と思ったが、それとも違う香りだと言う事に気付き、そう質問してみれば…ウソップは慌てたように振り返った。



「使ってないぞっ!お前達専用のシャンプーなんて!」



私達専用のシャンプーを無断使用したのでは…と疑っていると思った様で、ウソップは引きつった顔でそう言った。



「やだ、分かってるわよその位。毎日使ってるんだもの、香りの区別ぐらい出来るわよ」
「そっ、そうか…良かったぁ〜」


心底安心した様で、ウソップはサンジ君のシャンプーを借りる事となった経緯を話してくれた。







「…やっぱ分かるか?香り…」
「いつも使ってるのが、安物だからね。…うん、サンジ君結構高いの使ってるじゃない」
「ふーん、道理で良い匂いだと思った」




自分の髪を摘み上げ香りを嗅いでいるウソップを見ながら、私はサンジ君の思惑に気付いた。
が、肝心のウソップが気付いていない辺り、微笑ましくも涙ぐましい努力に…私は浮かんでしまう笑みを極力抑えながらウソップへと聞いた。









「ね、同じシャンプーの香りがする…って、夫婦みたいね」
「……なっ!?☆」







何言ってるんだっ!?…と言いたいのだろうが、口を『な』の形に開いたまま、ウソップの顔は見る見る赤くなっていく。








「旦那様によろしくねv」








と言いながら私が出て行こうとすると、ウソップは我に返った様で「違うぞっ!完全なる誤解だからなっ!」と、閉じた扉の向こうから必死の声が聞こえた。











「くそ〜っ、ナミの奴……夫婦って何だよ…」




と言ってみたものの、考えてみればそうかも…とか思えてしまい、一人赤面してしまう。
しかし、髪からはシャンプーの香りが漂い…サンジをますます意識してしまって…早く寝床へ入らないと、折角温まった体がまた冷えてしまう。
しかし、今の香りを纏ったままで戻ろう物なら、サンジのアホがまた何か恥ずかしい事を言うのは目に見えていて…






「あ〜もうっっ、どんな顔して入ってけば良いんだよ〜〜っっ」
「ウソップ?何叫んでんだ」
「サッサンジ!?」






いつまでも戻らない俺様を探して、サンジが来てしまい…その後どうなったかは、言うまでも無いのでナイショだ。






                      〜END〜






















いやはや、文章読みにくいですよねぇ…おまけに意味不明だし(^_^;)
でもま、初めての冬コミにて配布したペーパーに書き下ろしたものですので妙に感慨深いです…自己満足でスミマセン(^_^;)


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