夏季山行・北アルプス 池平山(1,561m)

今年度の岐阜支部恒例の夏季山行は北アルプスの中でも最も深山の一つである
池平山を目指すことになった。
当日午前4時に関ICを出発した我々は、立山駅
で前日に出発したSさん一行と、7時に合流し、さっそく登山口の室堂へ向け移
動した。時折ガスがまき肌寒い気温に天候の不安を覚えながらも、これから向う
長野県方面の晴れへの期待を込めてスタートした。

8月も終わりに近く平日ということも有って雷鳥沢のテントは思ったより少なく、
登山者もまばらであった。

 剣御前小屋で再結集し、標高差1200bの真砂沢ロッジまでの下り今年新築なった
剣沢小屋前を通り剣沢雪渓に向かう。今年の雪の少なさはここに於いても例外では
なく、剣山荘から直接雪渓に下りる辺りで初めてアイゼンを装着した。

雪渓には所々でクレパスが顔をのぞかせていたが、それでも予想した以上に順調に
歩くことが出来た。心配した天気も良くなり、時折源次郎尾根や八ツ峰にあたる朝
日がまぶしい。剱岳へ吹き上げる足の早い雲の幻想的な雰囲気に思わず歓声が上が
りシャッター音がする。

雪渓の上には方々に今年流されたという剣沢小屋の残骸と思われ木屑やトタン板、
中にはドラム缶や油を汲み上げるポンプなどが散らばっていた。このまま放置され
るのだろうか、何とかしてほしいと思う。

 雪渓を一時間も下ると右(別山側)から左へと真砂沢ロッジで使う黒い水の導水
管が走っているのが目印になり更に30分も進むと左手の剱岳側でアイゼンを外す。
ここから崩れやすいトラバース道で気を引き締めて下ることになるが、もうここま
で来れば真砂沢ロッジは目の前、赤や黄色のテントが目に飛び込んでくる。

 ロッジは某放送局の撮影隊が急遽入った為とかで、想像していなかった混みよう
に寝られない一夜を送らねばならなかった。


 二日目は5時朝食、5時半に出発した。出発して二股分岐までの一時間は南股左
岸を下るが、三分の一位は川の水量が少なくアップダウンの少ない河原を歩くこと
が出来た。

二股で池平山〜仙人池ヒュッテ6人・仙人池ヒュッテ〜真砂沢ロッジ5人泊りの二班
に分け、後者をSさんに託して池平山へと向った。

 二股から200b位上流で北股右岸から仙人峠への尾根に取り付き標高差500b位を
一気に駆け上がる。この尾根では時々木々の間から剱岳北方稜線から派生する三ノ
窓や小窓雪渓、裏銀ルートの山々が垣間見られ知らず知らずの間に高度を上げるこ
とが出来る。また、峠の手前では今回の最高点でもある「池平山」や仙人池ヒュッ
テが初めて見えるが、この辺りから見る池平山の山容は二等辺三角形を逆さにした
ような端正な姿で、はるか遠くに感じられた。標高2,150mの仙人峠に荷物の一部を
デポ、30分ほど下って池ノ平小屋を通過する。間もなく本峰と北方稜線への分岐が
出てくるので、右手の尾根をここでも標高差500bを一気に登る。

樹林限界が過ぎてハイマツの間にはチングルマの絨毯が一面に広がり、雷鳥が歓迎
してくれた。

途中で池ノ平小屋に連泊しているというガイド付きの二人に会う。どうしてこんな
山に来たのかと聞かれ、やはりここまで来る登山者の少なさを改めて実感する。
高度を上げるにつれ、日本海側の北アルプスが目に飛び込むようになる。

白馬・毛勝・朝日等々。やがて肩に出ると先鋭な岩の塊が有り、そこが頂上と確認
できる。

今朝から上り始めて5時間半、ようやく永年の希望をかなえられた感激の一瞬であ
った。頂上から見る、剱岳北方稜線〜本峰〜白ハゲ〜赤ハゲ〜赤谷〜毛勝〜僧ケ岳
稜線が格別の印象として残った。

 往路を戻り池ノ平小屋で映画「剱岳」撮影隊の撮影の模様や記念写真などを見せて
もらい仙人池ヒュッテに入った。小屋は昨夜と違い貸切りで、夕食はどこかのホテ
ルを連想させるような豪華版、つい遅くまで談笑してしまった。

三日目は歩行時間が十時間に及ぶので、小屋の叔母さんに無理を言って四時の朝食
にしてもらい早々に出発したが、折からの雨で二股までは特に歩きづらかった。
真砂沢ロッジでSさんのグループが一時間半先に出発したことを確認、雪渓取り付き
辺りから雨も止んで、一気にピッチが上がる。結局剣沢小屋で一服していた先行者
に追いつき、午後1時前に雷鳥沢に到着した。もう一泊するというSさんグループ
5人と雷鳥沢で別れ、午後7時頃出発地に戻った。      記録 藤井法道

[コースタイム]
09年8月27日(曇り)
 岐阜・関IC3:50=立山IC=立山駅6:50〜7:20***室堂8:00
〜8:25−雷鳥沢―剣御前小屋10:30〜11:15−剣沢小屋11:45〜
12:15−剣沢雪渓13:05−真砂沢ロッジ1:25 (泊まり)

8月28日(曇り時々晴れ)
 小屋5:30−二股6:40〜6:50−仙人峠8:25〜8:00−池ノ平小屋
9:10〜9:15−池平山10:55〜11:25−池ノ平小屋12:45〜13
:00−仙人峠13:25−仙人ヒュッテ13:45  (泊まり)

8月29日(雨のち晴れ)
 小屋4:30−仙人峠4:50−真砂沢ロッジ7:15〜7:30−剣沢小屋9:
50−剣御前小屋10:45〜10:55−雷鳥沢12:50−みくりが温泉13:
30〜14:30―室堂15:00〜15:30***立山駅16:30〜17:0
0=立山IC=関IC=大垣20:45

[参加者] 11名

09年8月28日 真砂沢ロッジで全員 09年8月28日 池の平頂上と小屋
09年8月28日 池の平頂上 09年8月28日 仙人池に写る剣の峰々